お久しぶりの明治丸

お久しぶりの明治丸

7月15日、東京海洋大学越中島キャンパスで海の日記念行事:第18回「明治丸シンポジウム-燈台巡廻を通じて近代日本を支えた明治丸」が開催されました。そもそも「海の記念日」は、国が海の恩恵に感謝し、海洋国家日本の発展を願って制定したものですが、その由来は、明治9年(1876)明治天皇が東北巡幸を終えて灯台見回り船明治丸に乗船し7月20日横浜に帰港したことに拠るそうです。

明治丸は、明治7年(1874)9月イギリスグラスゴーのネイピア造船所で進水、翌明治8年2月に日本に回航され、以後第3代目の灯台見回り船として全国各地の灯台を巡廻し、点検や修繕のために訪れるお雇い外国人の技師や職工、日本人の交代保守要員や資材、燃料、生活用品、俸給などを運びました。また、明治天皇をはじめ政府高官が儀式や公用で乗船されることもあって、船内には美麗な御座所や会議室なども設えてあります。灯台見回り船としての使命を終えた後、旧商船学校(東京海洋大学の前身)時代の繋留練習船などを経て、現在、越中島キャンパス内に保存展示されています。同船は、昭和53年(1978)国の重要文化財に指定、平成27年(2015)には、多くの卒業生や企業の浄財により2度目の大規模保存修理を終え、一般公開されています。

さてこのシンポジウムについてですが、毎回主催者の大学に地元の深川観光協会とNPO法人江東区の水辺に親しむ会が協力して開催しているというのがとてもユニークだと思います。「地域の中の大学」、「地域住民に親しまれている文化財」を地で行くこのシンポジウムはとても素晴らしいと感じました。

シンポジウムの講演者と講演テーマは以下のとおりです。なかでも、現在では船舶のレーダースコープ上にバーチャルな灯台を置くことによって、物理的な航路標識ではなく、画面上の表示で船舶を安全に導くことも可能になっているという報告を聴き、「そこまで来ているのか!」と、灯台専科の私としてはある意味でショックでした。

講演Ⅰ「明治丸の燈台巡廻の航跡」庄司邦昭(東京海洋大学 名誉教授)

講演Ⅱ「灯台の魅力と灯台守のいた時代」不動まゆう(「灯台どうだい?」編集長)

講演Ⅲ「灯台の歴史と取りまく変化」向井大幸(海上保安庁 交通部企画課 専門官)

講演Ⅳ「海難防止技術と燈台の役割」國枝佳明(東京海洋大学 教授)

記念に会場の越中島会館売店で明治丸のマグカップと湯飲みを購入。アンケート回答のプレゼントにいただいた旧商船学校繋留練習船明治丸および同練習船大成丸の記念絵葉書セットもグッドでした。

 

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